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恵まれない子供+スポーツ=幸福量の増加



災害や貧困、迫害によって辺りが絶望で溢れたとき、私たちはどのように幸せを取り戻したらよいのでしょうか。2008年、ミャンマーでは大型のサイクロンによって14万人もの方々が亡くなりました。元国連開発計画ミャンマー?パキスタン?フィリピン事務所長の田中敏裕氏は、スポーツを通して、希望の灯火を絶やさず生きる力をとりもどそうという活動をしてきた方です。田中氏は10月1日(火)に来学し、国際学科の学生に「インクルーシブ?スポーツが増やす世界の総幸福量」をテーマに講演しました。

おきざりにされてきた障がい者

インクルーシブ?スポーツは、様々な身体的、知的、精神的な障がいをのり越えて、障がいのある人もない人も一緒にスポーツを楽しめるようになることを目的としています。これは「すべての人にスポーツを“Sport for All”」という国際的な運動ともつながっています。ブータン王国でも勤務した田中氏は、開発や人生の目的を「幸福量を増やすこと」にあると説きます。国連のSDGs(持続可能な開発目標)において最も重要なスローガンは「誰もおきざりにしない(Leave no one behind)」です。社会の中で、そして開発の中ですら、これまで常におきざりにされてきたのが障がい者です。身体的?精神的なハンディキャプばかりか、社会的にも経済的にもインフラ的にもハンディキャプを背負わされ「幸福」どころか「基本的人権」すら満たされない環境におかれているのが障がい者の世界の現実です。

障がい児にスポーツを

田中氏は、最も恵まれない子供である障がい児にスポーツをとどけることが、この世界の幸福量を増やすために必要かつ効果的であると考え、卓球バレーという重度な障がい者も楽しめるゲームとスポーツ競技としての卓球を並行して教えるプロジェクトをミャンマーで始めました。知的障がい者卓球の日本代表チームの監督もされている田中氏は、2020年の東京パラリンピックが、日本社会のインフラのバリアフリーばかりでなく、日本人の心のバリアフリーをもたらし、障がい者そして幼児から高齢者も含めた生涯スポーツに発展していく大事な契機となると考えています。

世界の幸せの量を増やすために明日からできること

最後のまとめとして、世界の幸せの量を増やすために、学生たちが明日からでもできることとして、田中氏は以下の手順をあげました。
1.おきざりにされている人を見つける
2.必要なことを尋ねる
3.できることを実行する
4.自分を受け入れてくれる相手に感謝
5.行動できる自分と周囲に感謝

「ボランティアは恋愛に似ている」という話を紹介され、「善意や国際協力も受け入れてくれる、そして心から喜んでくれる相手がいて、初めて成立するものです。そのような相手がこの世にいてくれたことに感謝し、その行動ができた自分と環境に感謝する。そうすれば幸福量は双方で必ず増えるはずです。」と締めくくられました。



報告:IR?広報室